救急搬送 エピソード4

別の世界へ

少しの間、別の世界へ行っていたようです。

といっても何かを見聞きしたわけではありません。

誰かの声が聞こえて、元の世界で目覚めました。

状況を理解できない

声をかけていたのは救急隊員だった。それは理解できた。

名前を呼ばれていたが、それが自分の名前だとは理解できていなかった。

身体へ心電図モニターを付けられていくのが理解できた。

この時点で視野は回復しておらず、ピンホールレンズで覗いているかのような世界だった。

視界が晴れる

突然視界が晴れ、右側の視野も戻った。

 

助かった~

 

そう思ったことは覚えてる。

自然に笑みがこぼれていたと思う。

しかし、頭がおかしい

分かりやすく表現すると頭が回っていない。

しかし、その感覚とは違った。

 

まわりの人物は知っているのだが、名前が一切出てこない。

何を言っているのかはしっかりと聞こえていて、覚えている。

しかし、その時は言葉を理解できていなかった。

 

話そうと思ってもちゃんと言葉が出てこない。

しかし、記憶はちゃんと残っている。

ビルからの脱出

机越しにOさん、Mさんが不安げに見ている。

他の方も不安げに見ていることを理解できた。

上司Sさん、産業医がいるのも見えた。

 

椅子から立ち上がり、ストレッチャーへ腰を持たれる。

救急隊よりストレッチャーに乗るように促されるが、それが何なのか理解できなかった。

どうにかして乗せられたのだろう。天井へと景色が変わった。

 

廊下を通る最中、救急隊より質問を受けた。

「補助人工心臓」というワードが出てきたのを覚えているが、普段から嫌というほど身近なはずの言葉すら理解できていなかった。

搬送経路も覚えており、非常用エレベータへ乗って運ばれたことも覚えている。

そして、救急車へ収容された。

頭が冴えてきた

救急車の中に入り、急速に頭が冴えていった。

上司とも話をしたのを覚えている。たぶんハッキリとした口調だったと思う。

誰かは理解しているのだが、名前が出てこない。

 

やばいな

 

そう思ったが、悲観や絶望する感覚はなかった。

むしろ笑いながら話していたような気がする。

病院へ到着

駆けつけた看護師、主治医。

誰かをちゃんと理解していた。

しかし

名前が全然出てこない。

 

CT室へ運ばれることは理解していたが、そこまでの距離が異様に長く感じた。

中央病棟のCT室がだめで、外来棟のCT室へ運ばれた。多分・・・

その途中も会話はしていた。

そして、主治医の名前が頭に出てきた。漢字が思い浮かんだのを覚えている。

しかし、その言葉を口から出すことはできなかった。

なんとも歯がゆい気持ちだった。

そして

 

このまま頭が壊れたままなのか?

 

そんなことを思ってました。

不安や恐怖というのではなく、諦めのような感覚だったのを覚えている。

ICUへ運ばれる

造影剤CTを受け、脳出血があることを告げられた。

どの部分だ覚えていない。そして今も聞いていない。(多分聞いたのだが覚えていない)

 

ICUへ運ばれた。

主治医が駆け足でストレッチャーを押していくのが理解できた。

息を切らせる様子を生々しく感じた。

 

 

病院の人って何でこんなにも頑張れるのだろう?

 

 

そんなことを思ってました。

すべてを思い出す

しばらくしてすべてを思い出しました。

不思議なくらいハッキリと覚えていました。

 

頭痛や視野のチラツキは残っていましたが、安心しきってしまいました。

意外にしぶといのかな?それとも運が良かっただけ?

 

職場環境に恵まれ、産業医も居合わせた状況での出来事。

そして職場が病院と近い距離であったこと。

自宅で倒れていたのならまた違った結果になっていたかも知れません。

すべては運がよかったのでしょう。

 

 

しかし偶然ではないことがある。

それは

 

いざという時の行動が身体に沁みついてたこと

 

この行動がなければ状況は厳しかったことでしょう。

これでも普段は臆病なくらいに「こうなったらどうしよう」などと考えています。

しかし、悪いことではなかった。

臆病でよかったのだ。

そしてこれからも臆病でいよう。誰も私の内面なんて分りやしないんだから、恥ずかしがる必要もない。

 

 

とりあえず、今回で救急搬送シリーズを完結いたします。

まだ入院中で色々とありますが、気が向いたらブログへ書いてみます。


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コメント: 4
  • #1

    happy (日曜日, 24 4月 2016 21:52)

    生きるべき命なんですよ
    これ凄い内容ですよ!

    私涙出てしまった
    お父さんは!強いんだ!って所をお子さんに見せなきゃね!

  • #2

    西村 (月曜日, 25 4月 2016 22:09)


    物事はシンプルに!

    これはマズいと思う時間が
    あったのは補助人工心臓をつけて
    用心深く生活を送っていけてた証拠ですよ。

    臆病者だとか神経質だとか
    まわりとは違う条件を抱えているからこそ
    感覚としては必要なんです。


    まわりのかたに理解していただけるのが
    一番の理想ですが

    それ以上に自分を信じて
    行動しましょう!


    今回のプチさんの出来事に
    大きな一歩を刻めたと思います。

  • #3

    プチ(管理人) (火曜日, 26 4月 2016 09:31)

    happyさん

    こんなところで終わってしまうわけにはいかないですからね。
    やりたいことの半分も出来ていませんから…
    しぶとく生きますよ。

  • #4

    プチ(管理人) (火曜日, 26 4月 2016 09:39)

    西村さん

    用心深いのか野生の感がするどいのかw
    どちらにしろ結果オーライです‼

    周囲に本当の意味で理解いだくのは難しいと思います。経験したことありませんからね。
    想像することはできても本当のところは分からないと思います。
    逆に我々も介助者や周囲の方の気持ちは分かりかねるところがあります。

    何はともあれ今回は助かったので、これからも一生懸命、しぶとく立ち向かうしかないのでしょう。