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回想 手術直後

 術前と術後の苦しみが未だにごちゃ混ぜになってあるところもあるが、術後だと認識している部分を触れてみる。当時の状況を思い出しながら書くと涙がでてくる、涙を流しながら書いてみます。

補助人工心臓の手術を受けた直後の記憶

気が付いたらどこかの部屋にいた、部屋の形はよく覚えていない。それでも確かに覚えていることがある。

記憶は女性に話しかけられたところから再開されている。

 

動けない

手足が動かない

 

意識が混濁している状況、手術したことや人工呼吸器が入っていることも理解できていなかった。しゃべれないことにも気付いておらず、なぜ声が出せないのか不思議に感じていた。体は全くうごかずただ天井を眺めていることしかできなかった。

 

トイレに行かせてほしい

 何とかして看護師へトイレに行きたいことを伝えたようだ。もちろんトイレに行ける状態ではないのだが、私はトイレで便器に座りたかった。ベッドで寝たまま洗面器のようなものをお尻の下へ入れられる。

 

出ない

いつまで経っても出てこない

 

暫くして洗面器が外される、これを何度となく繰り返してうたと思う。看護師から「プチさん、オムツはいているからそのまましていいんだよ」と言われた。どうやって意思を伝えたのか覚えていないが断った記憶がある、何度も。

それでも暫くして抵抗もむなしくオムツへ垂れ流す。その後に尻を拭かれるのが精神的にも辛いし、体も激しく痛い。何度となく尻を拭かず「そのままでいい!!」っという意思を伝え、看護師から怒られた。 

 

その頃は数多くの不思議な光景が私を悩ませていた。 

自分が横たわっている病室に訪れる

ありえない話だが、自分で自分を見舞いにいったのである。歩いて向かうこともあれば、扉の窓越しに覗いていたこともある。天井から横たわる自分を見下ろしていることもあった。

船の中でパソコンをつかって仕事をしている

 絶対にありえない状況。そもそも私は乗り物酔いが酷く乗り物の中では本を読むことも難しい、船はその中でもダントツに相性が悪い。しかし、大型の船に乗っており暗い部屋の中でノートパソコンを立ち上げていた。簡単な病気の経過書いたメールを上司へ送ろうとしていた。見慣れたメール作成画面で文字を打つそばから消えていく、何度も繰り返してメールではなく電話で上司へ連絡していた。

 

 よくわからないが船上で心臓に関する学会が開かれており、私も誰かに連れ添われて聞きに行く。そんなことを繰り返し体験していた。

何もが回る、サイケデリックな世界

 これは少し時間が経ってからだと思う。なぜそれが分るかというと天井以外の場所を見れていたからである。何かに目の焦点をあてると、その場所が渦巻きのように回りだす。天井、カーテン、窓など色々な場所がグルグルと回り出す。そして、時々サイケデリックで色鮮やかな世界に入り込んだ。

貞子の出現

サイケデリックな体験と同じ時期に苦しんでいたことがある、カーテンの隙間から誰かが覗いている。恐ろしいものが何度も何度も覗いてきて、仕舞いには窓から這い出てきた。まるで貞子のように。

ここまでは人工呼吸器をつけた状態での出来事。妻曰く、目が普通じゃなかったと。

術後の精神状態や医療用麻薬などの使用もあっただろうし、せん妄状態だったのでしょう。もう二度と味わいたくない経験です。それから徐々に意識がはっきりとしてきます。そうすると今度は身体的な辛さが現れてきた。

 

つづく