これがリアルな心臓移植待機生活だ

 私の姿を見た多くの人の目は「普通の人」むしろ「元気な人」と映ることが多いでしょう。そして、病気のことを知ったとしてもそのようなイメージを持たれることでしょう。確かに「元気」であり、沢山のエネルギーを持ち合わせていると思う。

実は誰よりも臆病である

 イメージとかけ離れているかもしれないが誰よりも臆病だと思うし、不安があれば直ぐにでも助けを求める。テレビ番組でもよく取り扱われるいわゆるドッキリ。あのドッキリの内容が嘘ではなく本物が潜んでいたらどうだろうか?当然、その様子は放送することはできないだろう…

 

 補助人工心臓を装着した移植待機生活では、待機者特有の「ドッキリ」を仕掛けられることがある。しかし、その中には「嘘」ではなく時に「本物」が潜んでいることがあるからタチが悪い。例えるなら急に目隠しをされ飛行機に乗せられて、空中から落とされるようなものだ。しかも、パラシュートが付いているかどうかは一切知らされていない。そして、「パラシュート」がついていない時があり、大事に至る。

あまりにも元気なイメージだけが先行してはならないと思い、ここ数日間で起こった出来事を記録しておこう。これがここ数日における私のリアルな心臓移植待機生活だ。

視野の異変

  先週金曜日の出来事である。朝9時から在宅での業務を開始して40分ほど経過した頃、パソコンのモニター画面が暗く感じた。はじめは室内が暗いのかと思い照明を強くしてみたものの、いくら照明を強く灯せど暗い。

そして、「もしや」と思った。

 

いつもの通り、手足のしびれやなどの感覚異常の有無、呂律や記憶力などをセルフチェック。それらに異常はみられないが、視野の1/4(右側)が見えていない事に気づく。いつもの通り数分様子を見るが症状の変化がないため、とりあえず妻へ伝える。もう5分待つも改善・悪化どちらの方向へも変化のない状況が続いた。仕方なく、自分ルールに基づいて病院へ自己申告という名の電話し、病院へ向かうこととなった。
過去記事:脳梗塞と症状 その対応を参照

顔面の違和感

 病院へ向かう道中、顔面右側(?)に違和感を感じる。不意に蜘蛛の巣へ顔を突っ込み、手で巣を払いのけるも巣の残骸が顔に残っているかのような嫌な感覚が続いた。

 

「あぁ、やばいやつかな、、、」

 

 少し覚悟をするも、しばらくして顔の違和感も視野もスッキリと晴れてしまった。視野については症状が出たり引っ込んだりしたが、病院に着いた頃には落ち着いた。CTや採血をするも異常らしい箇所は見当たらない。モニター画面に映し出された頭を輪切りにしたCT画像には、以前ダメージを受けた箇所が映し出される。この画像を見ると憂鬱な気分になるが、目に見える新たなダメージはなかった。嬉しいのか?悲しいのか?とても表現できませんが、状況を理解することができたこともあり幾分スッキリしたような気分で病院を後にした。

後日、再び視野の異変

 昨日の夕方、それは社内で起こった。パソコンの画面が強烈に見えずらい。もはやパソコンだけでなく視野の左半分は識別できない状況であり、慌ててセルフチェックを行った。視野以外は問題なさそうだが、左右どちらの目でも以上が再現するので、目ではなく脳での異常なのだろうと思った。

閃輝暗点

 視野異常の大部分は閃輝暗点の様相を呈していた。特徴があり何度も経験済みなので認識しやすかった。(過去記事:救急搬送 エピソード2)

 

 症状発生から5分後に極大期を迎え10分後にはほぼ消失し、15分後には完全消失。今回の出来事は精神的にかなり堪える。近いうちに大きな脳梗塞や出血が起こるのではないか?そのような不安が頭にこべり付き、なかなか落とせないのだ。少し例をあげると

・シャワー中に「何か」あったらどうしよう?

・寝ている間に「何か」あったらどうしよう?目覚めなかったらどうしよう?

 

待機期間が長くなり、それなりの経験をしてきた。その中である程のメンタルコントロールも身につけてきたが、身体症状があると精神的にかなり堪える。

 

しかし「元気だ」

 「元気」という文字は抽象的で、実に都合のいい言葉だ。しかし、あえて使おう「私は元気だ」

哲学的な話はさて置いておき、私の元気を具体的に絵にしてみた。

 私の元気はマイナス要素とプラス要素によって成り立つ。どちらか重い方へ偏るシーソーなようなもので、実に単純明快な思考だ。書くまでもなく平衡をとれた状態が中間だ。

しかし、中間もしくはそれ以上を維持することは意外と難しい。そこへ病気を抱え、移植待機という要素が付く更にコントロールは複雑となる。

 これが今の私の「元気」シーソーだ。どちらも大きなものが積み重なっており、板自体が極限までしなっている。少しでもどちらかに偏れば一瞬のうちに状況が変わる。プラス側であればよいが、マイナス側だと大変だ。まさに板は自分そのものであり、平衡がとれていても待期期間が長くなるほどに重さは増え、いずれはその重さに耐えきれず板自身が割れてしまうかもしれない。幸いなことに今のところ絶妙なバランスで「元気」シーソーを保ち続けている。

太くする?軽くする?

 板を太く丈夫にするのは簡単なことではない。時間を重ねれば太く鍛え上げることも可能かもしれないが、板にかかる重さも増えてくるだろう。それでは根本解決にはならない。

ではどうすればよいのか?

 

軽くする

 

これは色々とできることがある。

・補助人工心臓の改善

・薬剤、医療技術の進歩

 

 しかし、それよりも元気に影響することがある。

それは先が見えること希望を持てることだ。

これは待機者自身が「必ず移植を受けられる」と思えることができる環境であるかどうかだ。移植医療の普及を願って活動することもその一つであり、当事者の交流会を開いて板を太く、板にかかる重さを軽くすることもそこにあると思う。

移植医療の普及について色々と活動しているが、正直それによって私自身の待期期間が短くなるとは思えない。しかし、この先家族や友人が移植を必要となる状況が来るかもしれない。その時に同じ思いをしてほしくはないので、今できることをやっているという側面が大きい。それは移植医療の普及も交流会も同じだ。

 

さて、明日も「元気」シーソーを維持して過ごすことができるだろうか?なお、先日放送された内容はWebニュースになっていたので一応載せておく。

 

それでも待ち続ける臓器移植希望者

 FFN

 ヤフーニュース

 


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コメント: 4
  • #1

    終末期医療の為、転院する者です。 (日曜日, 22 10月 2017)

    はじめまして。私は以前、VAD交流会に参加申込みしましたが、体調不良の為に参加出来なかった者です。
    その後も、体調不良が続き参加する事が出来ず、現在、入院中です。
    今回の入院で、告知を受けて、余命は半年です。しかし、薬の投与が思いのほか上手くいっており、病状が増悪していませんが、余命が短い事には変わりありません。
    元気シーソーの話しが、今の自分と重なり、コメントを書いてしてしまいました。同じ病気の人のリアルな生活や気持ちを知る事が出来て嬉しいです。こんなコメントを書いて、不愉快な思いをさせてしまいましたら、御免なさい。命のあるかぎり、ブログを拝見させていただきます。

  • #2

    まりこ (火曜日, 24 10月 2017 17:37)

    いつも貴重な体験を、客観性がありながらも感情を含め、私たちに分かりやすく配信して下さりありがとうございます。引き続き、勉強させていただきます。

  • #3

    Satoru Ishii(管理人) (土曜日, 28 10月 2017 11:07)

    >終末期医療の為、転院する者です。さん
    こんにちは、そしてリアルなコメントをお書きいただきありがとうございます。
    それぞれに直面しなければならない現実があるかと思いますが、そんな時にも元気シーソーを乗りこなせるとよいですね。貴方様自身が一番大変な時期かと思いますが、今が少しでも喜ばしい時期と思えるようになると良いですね。
    不定期開催ではありますが、現在はスマホやパソコンを使った「井戸バド会議」という多人数ビデオチャットを用意しております。病院から参加される方も多く、もしよろしければご参加いただければと思います。

    私も最後の時までブログを書く覚悟と用意をしております。ぜひ少しでも長くこのブログを見続けていただければと思います。
    皆で共に

  • #4

    Satoru Ishii(管理人) (土曜日, 28 10月 2017 11:18)

    >まりこさん
    お褒めいただきありがとうございます。
    何にせよ作文力が乏しいのでいつもしっかりと書けているのか不安な状態でありますが、それが「私だ」と思って臆せず書いているつもりです。
    当初は客観性など全く考慮せず書いていたのですが、少し客観性を考慮することで自分自身の状況整理にもつながることが分かり、意識して書くことはあります。すべてではありませんけど…
    これからも参考程度に見ていただけれたら嬉しく思います。

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