· 

誰でもVAD交流会開催レポ vol.2「臓器移植、臓器提供の正しい知識、リアルな現状」

講義中の写真
移植コーディネーターならではの体験談

 日本臓器移植ネットワークの移植コーディネーター(以下、移植Co)より正しい知識とリアルな現場の様子をお話いただきました。その中で特に印象深いものをピックアップいたします。

正しい知識を学ぶために

日本の移植事情
JOTホームページでダウンロードできます

 交流会では「日本の移植事情」という冊子を配布しましたが、本記事では冊子では知りえなかった内容についてお伝えいたします。

日本に実在する臓器移植とコーディネーター

 この日は9時半に現場入りして会場のセッティングや演者との打ち合わせを予定しておりましたが、移植Coは遅れて到着するとの連絡が入りました。理由をお伺いしたところ直前にあっせん案件が発生し、その対応で講演開始時間ギリギリでの到着になるというものでした。まさに映画「あさがくるまえに」やTVドラマ「コード・ブルー」のような状況がこの日本で起こっていたのです。講演内では移植Coの仕事環境についても写真などを使ってリアルに紹介いただいた点も印象に残りました。

いつどこでも寝ることができないと仕事にならい

 プロジェクターへ投影した講演資料も夜中に眠い目をこすりながら作成したものとのことでした。3日に一回はあっせん案件が発生し、睡眠どころかシャワーすら入れないこと数日続く状況もあるそうで、自分の身体を清拭するというエピソードはとてもリアルでした…
そのような環境で働いているので「いつどこでも寝れる技術」が身に着くそうです。実際には「いつどこでも寝れる技術」を駆使しないとまわらないほど、現場は余裕のない人員で対応しているのだろうと感じ、コーディネーター業務に携わる方達の身体と家庭が少し心配になりました。

臓器提供のリアルな現場

 TVドラマ「コード・ブルー」にて臓器が摘出される手術室のシーンがありましたが、あくまでテレビ向けであって綺麗に整った印象を受けていました。実際に写真では慌ただしい空気感を感じることができました。そこには臓器の摘出スケジュールを記載したボードなどがあり、まさに「コード・ブルー」と同じでした。あれはよく表現できたTVドラマだったと改めて感じました。

臓器の摘出開始前

 臓器摘出時は誰が執刀するのか?そのような疑問を持ったことはありませんか?各臓器の受け入れ施設の医師がドナーのいる病院へ派遣され、執刀するそうです。手術室は受け入れ施設の医師等で溢れます。そして、臓器摘出開始前には全員で黙祷を捧げるそうです。講演では実際に黙祷している様子の写真を投影いただくとともに、状況を詳しく説明いただきました。この写真を見たときの感情を綴りたいのですが、気持ちの整理がついていないので今回は割愛します。

運搬時間と運搬ルートの確保・調整

 摘出された各臓器は血流が無い状況で搬送されるため、臓器毎に虚血許容時間の目安が設けられています。

臓器 虚血許容時間 搬送許容時間
心臓 4時間

2~3時間

8時間

6時間

肝臓、小腸 12時間 10時間
膵臓、腎臓  24時間  22時間

 摘出時間の遅れが生じた場合は移植Coが運搬ルートなどの見直しや関係機関との調整を行うとのことです。なお、心臓が一番時間にシビアで遠方への提供となった場合は飛行機(チャーター)やヘリコプターが手段として選ばれるそうです。東京のレシピエントが遠方のドナーより心臓の提供がされる場合、飛行機で羽田空港、病院までヘリコプターというケースが多いとの説明でした。そして、心臓移植待機者として気になるのはその運搬費用です。提供元と受け入れ側が近い場合は殆ど費用が発生しないこともあるそうですが、遠方の場合はやはり数百万単位で必要となります。

全ての方にありがとう

 今回配布した資料にはthink transplantの冊子もいくつか入っています。私とおなじく補助人工心臓を装着し移植を受けられた方の手記がありましたので、こちらでもご紹介させていただきます。(JOTのホームページには他の手記も公開されています)

think transplant Vol.25 臓器移植経験者の手記
クリック、タップで拡大できます

 実際に私もこの方より多くの力をいただきました。目標としている姿が見えることは移植待機者およびその家族にとってとても大事なことです。私もその一例になれるよう出来ることを確実にやって臓器提供の機会がくるまでの日々を過ごします。次回は移植経験者の講演、トークセッションの様子をお届けします。


あなたへのおすすめコンテンツ