· 

誰よりも早い⁉新しい植込み型補助人工心臓の情報

新しい植え込み型補助人工心臓

 ようやくブログを更新する気になれました。皆様、明けましておめでとうございます。(実際には何がおめでたいのかよく分からない日々を送っています)

昨年末より報道されている内容だが、誰も書いていないようなのでこのブログ記事で写真の植込み型補助人工心臓について触れてみたいと思う。

HeartWare HVADシステム

 HeartWare社のHVADは既に世界中で導入されている機種であり、特に新しい機種が誕生した訳ではありません。しかし、日本においては販売承認がされておらず治験以外での導入はされていなかったと理解している。昨年12月に日本メドトロニック社がHVADの販売製造承認を受け、日本でもHVADの利用が増えてくることでしょう。そんなHVADについて知っていることを記述致します。(あくまで私個人が把握している内容のため、詳しいことは間違っている可能性があります、予めご了承ください)

HVADシステムの大きさと重さ

 既に植込み型補助人工心臓を装着されている方であれば気になるであろうシステムの大きさと重さについて触れてみる。なお、以下の数値はメーカーに掲載されている最新の仕様書から引用しているため正確だと思います。


ポンプ駆動を制御するコントローラー

 重量は0.5kgと軽量で、サイズも13.4×10.5×5.1 cmと非常にコンパクトな形状。コントローラーには二つのバッテリーを接続して利用し、バッテリー残量やエラーを表示するディスプレイやアラームミュートボタンなどが備わっている。 
※カラー液晶ではないようです

バッテリー

 本体に二つのバッテリーを接続するが、予備として持ち運びも必要となるバッテリーの重量も調べてみた。バッテリーは日一つあたり0.5kgと軽量で、大きさは9.9×8.9×4.6 cmとのこと。

周辺機器

 植え込み型補助人工心臓ではバッテリー充電器などの周辺機器も必要ですが、それらの大きさなども気になるところです。

バッテリーチャージャーは4つのバッテリーを充電できる仕様で1.3kg、大きさは28.6×13.4×10.2cmで5時間でチャージされるようです。EVAHEATよりは大柄ですが、HeartMate2よりは小型なようです。

なお、コントローラーのACアダプターとDCアダプタ⁻は分かれているようですが、どのような接続になるのかは理解してないため詳細は省略します。(どちらとも重さは0.7kgとのこと)

HVADシステムのポンプとドライブライン

 実際に身体に植え込むポンプや電力を供給するドライブラインの仕様についても確認してみました。既に運用されているEVAHEART、HeartMate2、Jarvik2000との比較を交えて記載する。

ポンプ

HVADの植込み

 ポンプの重さは160g、HeartMate2が400g、私に植え込まれているEVAHEARTの420gを考えると非常に軽い。なお、新しいEVAHEART2は約260gであるがそれよりも軽量だ。そして、大きな特徴としてEVAHEARTやHeartMate2のようにインフローのグラフトがないことが挙げられる。HVADはポンプとカニューレが一体となっており、心臓の左室へ直接ポンプを取り付けるような形になるようだ。(写真でみるとJarvik2000のイメージと近いと感じた)


ポンプ形状も特徴があり、日本で運用されている主な植え込み型補助人工心臓と比較してみた。

  • 軸流形ポンプ
    • HeartMate2 400g
    • Jarvik2000 90g
  • 遠心型ポンプ
    • EVAHEART 420g
    • EVAHEART2 260g
    • DuraHeart 540g
    • HVAD 160g

 

 なお、EVAHEARTの羽根車は軸が存在するが、クールシールという水を利用して回転する軸が直接金属と触れないような構造となっている。EVAHEART唯一の形式である。また、DuraHeartは軸受がない磁気浮上型を採用しており、リニアモーターカーのように羽根車自体が磁気で浮いているため、正常動作時はアウターケースとの接触面がない。

※正常動作時ではない細かなことは「経験者からの補足」を期待します

血液の擦れる箇所が少ないということは溶血や血栓の発生リスクを低くできるという。

 

 HVADは遠心型ポンプに分類される、それも磁気浮上型だ。構造を確認してみるとDuraHeartとも異なっているが、細かいことは割愛する。また、血液を送り出す能力(流量)はHVADが最大流量10L/minである。それぞれのポンプへ最大流量の情報を加えると以下のようになる。

軸流型ポンプ

システム名称 重さ 最大流量
HeartMateⅡ 400g  確認できず
Jarvik2000  90g 7L/min

遠心型ポンプ

システム名称 重さ 最大流量 軸受の特徴
EVAHEART 420g  20L/min クールシール
EVAHEART2 260g 20L/min クールシール
DuraHeart  540g  8L/min 磁気浮上 
HVAD 160g 10L/min 磁気浮上 

ドライブライン

 私に植え込まれているEVAHEARTのドライブライン全長は3m、これは体内に埋もれている分や身体に巻いている長さもふくまれているので、実際に伸ばせる長さは1.5mほどだ。

※訂正したい内容も含まれているが、詳しくは過去記事補助人工心臓 解体新書を参照

 

HVADのドライブライン全長は約1.2mで実際に装着するとEVAHEARTほどの長さの余裕はないだろう。シャワー浴はコントローラーの防水を施して一緒に入るのであろう。なお、ドライブラインの直径は4.8mmである。

私の装着しているEVAHEARTは10mm、新しいEVAHEART2は7.8mmだ。HVADはドライブラインが細い分、屈曲による断線には気を付けたい太さなのかもしれない。

私のHVADに対する印象

 ポンプは小型でありながらも遠心ポンプの特性で低回転、高出力が実現されており、磁気浮上という形式を採用することで溶血や血栓などによる脳卒中の発生リスクを低くする仕組みが随所に施されているといった印象だ。また、ポンプ自体が小型であるためJarvik2000のようにポンプを設置するスペース(ポンプポケット)を作る必要がなく、小柄な女性や若い方への埋め込みにも期待ができるのであろう。

但し、ケーブルの長さはあまり長くないためキャリアなどに載せてコントローラーを持ち歩くことは不可能なのかもしれない。そもそも軽量小型だからキャリアなどの利用は不要なのかもしれない。

 

今後はどのような方へ適応されていくのだろうか?小柄な体形だがJarvik2000では流量が不足するような方には良いのかもしれない。

機械が進歩すれば十分なのか?

 医療機器が拡充されればそれで終わりなのだろうか?その先にある治療(心臓移植)が受けられるからこそ頑張れる人も多いと思う。デバイスだけでなくそれぞれが進歩しなくてはならないと思う。それは移植医療の普及啓発活動だけでなく私を含めた患者自身も同じだ。

長期にわたり臓器移植を待たなければ叶わない状況であれば、その間の生活の質を向上させる必要もでてくる。それには植込み型VADを装着している患者・家族(もしくは元患者)の経験が鍵を握っていると思う。当事者でしか分からないこと、それらを活用する必要がある。しかし、お互いに支え合う枠組みはなく有志がそれぞれに取り組んでいるのが現状だ。

 

2018年12月31日時点で心臓移植を待つ人

736人

 

2018年の心臓移植件数

55件

 

 

 私はこの数字のギャップの先にある答えに考えを巡らすことがある。果たして植込み型補助人工心臓は患者に希望を与えているのか?医療機器としてはとても優秀だと思うが、あまりにも長すぎる心臓移植の待期期間によってVADの優秀さが影って見えてしまうのも事実。VAD装着期間が長ければ長いほど不満がでてくるのはそういった側面もあるからだろう。

心臓移植が現実的に「叶わない」のであれば「叶わない」なりの着地点を明確にしてほしい。その着地点を目指すにあたり、現状の行動制約は適正だろうか?私は違うと思う。

学会などで議論されているだろうが、どうなるのだろうか?

 

※本ブログ記事で掲載している画像はメドトロニック社HPより引用している

facebookコメント