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創部状態は「生活の質」へ直結する? - ただいま体験中

桜の季節
私も同じようにカメラを構えていた

 今回は平成最後のブログ記事だ。私は補助人工心臓を植え込んでから、自宅で待機生活を送りながら仕事だけでなく、ボウリングをしたりゴルフの打ちっぱなしへ行ったりと「アクティブな生活」を送ることもできた。この写真は二年前の「生活の質」を現した一例である。花が咲き乱れる季節に複数台のカメラを担いで数キロを歩き回ることもできていた。

 

 三年前にも同じような記事「父は専属カメラマン」の巻を書いているが、それよりも重装備だった気がする。今日はそんな「生活の質」について触れてみたい。

「生活の質」とは?

QOL

 「生活の質」とはなんぞや?という方はインターネットで「QOL」という文字を検索して調べて欲しいが、一応Wikipedia「クオリティ・オブ・ライフ」から引用しておく。

==引用開始==

クオリティ・オブ・ライフ(英: quality of life、QOL)とは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。QOLの「幸福」とは、身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境、十分な教育、レクリエーション活動、レジャーなど様々な観点から計られる。

またQOLには国家の発展、個人の人権・自由が保障されている度合い、居住の快適さとの関連性も指摘される。

したがってクオリティ・オブ・ライフは、個人の収入や財産を基に算出される生活水準(英: standard of living)とは分けて考えられるべきものである。

==引用終了==

 私の「生活の質」はどの程度のものなのだろうか?これまでのブログ記事やYouTube動画を見ていただければ、その当時の生活状況をある程度想像できるであろう。ただ、それらの多くは補助人工心臓の恩恵を最大限に受け、大きな合併症を起こしていない状況である。そして当時における周囲の理解度やサポートなどの上で成り立っていたものである。つまり私の生活の質は「自身の身体・精神状況」と「周囲の環境」により左右されるものだと言っても間違いではないだろう。

では、現在における私のQOLはどうだろうか?

身体状況が悪化した今のQOL

負の連鎖

 これまでの4年間を通して学んだことがある。それは一つがバランスを失うと他も不安定になりやすいということだ。今回は創部の悪化であるが、それは精神状態にも影響してくる。そして、お金の話や様々の状況変化も起こる。今回、創部が悪化したことにより出始めている身体的変化について書き残しておく。それらを見ることで、私のQOLの変化も覗き見ることができるだろう。

自分で足の爪が切れなくなった!!

 これは少し違和感を感じ始めたころ(潰瘍の出現前)から気づいたことである。足を使ってしゃがみ込むことはできるのだが、前屈するような腹部変化の大きい動きが危険な気がして、爪を切ることを放置していた。(他人に爪を切ってもらうのも怖いので放置していた)

そのような状況を放置した結果はブログではなくインスタへ投稿していた。

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心臓移植を待って丸4年さん(@shabondama_factory)がシェアした投稿 -

 

 今では床のものを拾う前屈動作すらできない。床のものを拾う際には前屈ではなく、腰を落とすように片膝をついてしゃがんでから手を伸ばすようにしている。それでも潰瘍とドライブラインが擦れて痛いときがあるので、なるべくやらないことにしている。行儀は悪いが、ドライブラインの出ている腹部右側へ影響しないよう左足を器用に使って拾い上げることが多くなった。
何気ないことだが、これもQOLへの影響は大きい。なお、爪は母に切ってもらった。

猫背が治った!?

背中の丸い猫

 これは良い意味ではない。ふくよかな腹回りをしている筆者は、猫背になると腹部変化が大きくなる。今は潰瘍があるためそのような姿勢では痛くて仕方なく、創部の状態を悪化させる。今パソコンでタイプしているこの瞬間も背筋を伸ばしている。(椅子の背もたれに寄りかかりすぎても痛いので、自然と姿勢は良くなる)
姿勢がよくなったことで腰痛が多少軽減された気もするが、長時間椅子に座っていることが苦痛になってきたのでQOLのマイナス要因だ。

おしっこが漏れる!?寝起きのトイレが難しい

痛み

 これは昨年から発生している胸の痛みとも大きく関係するのだが、目が覚めてからベッド上で起き上がるまでに1時間弱という時間を要する状況になった。胸の痛みと経過についてはFacebookの友達限定で投稿していたが、ブログでは記載していない。
今はドライブライン貫通部の回復期であるため就寝中に癒着が進む。癒着が進むのは良いことなのだが、自宅生活では困った事態を引き起こしている。病院のベッドであればリクライニング機能を使ってゆっくりと腹部へ負担をかけることなく起き上がることが可能だが、自宅のベッドはごく一般的なものである。ある程度体を横に向けてから、肘を使って起き上がる必要がある。しかし、体を半身の体勢へもっていく時点でビリッとという痛みに襲われるのだ…

尿意

 毎朝、癒着がはがれないようにゆっくりと時間をかけて体を少しずつ動かしている(動かすというよりモゾモゾしている)。そうこうしている間に1時間弱が経過している。もちろん起き上がれないのでトイレもお預け状態だ。寝る前に一般の方よりも多く水分をとっているVAD装着者や利尿剤を使っている方であれば、寝起きの1時間トイレに行けない状況の辛さはご想像いただけるだろう。
私は利尿剤を服薬していないが、朝一番の排尿は700~1000mlほどであることは入院時の計測より分かっている。

 

 どんなに頑張っても癒着が剥がれることはあるし、多少の痛みも伴う。それよりも横になってモゾモゾしている状況で起こる胸の痛みのほうが遥かにキツイのが現状だ。(胸の痛みは起きてしまえば消失するので、創部が問題ない時はすぐに起き上がるのが習慣となっていた)

 

もちろんこれもQOLの大きなマイナス要因だ。

まるで滝行!?立ってシャワーを浴びる?

滝

 煩悩を払うために立ってシャワーを浴びているわけではない。椅子に座って頭を洗うと腹部変化が大きいため、立ってシャワーを浴びるようになった。色々と工夫しているが、浴室でフラついた経験がないわけではないので可能な限り椅子へ座る努力はする。しかし、現状では立ったままの状態が多い…

もちろん足の指先など前屈しないと洗えない箇所は雑になった、シャワー上がりの足元を拭き上げにも難儀する。

これらもQOLのマイナス要因だ。

いつか書く予定だが、シャワーの温度はかなり低い

消毒処置が大変になる

 今は創部の状態が日々変化するため、消毒前の創部観察や写真撮影以外にもどのように消毒するか作戦を練る時間が増えた。外科手術の一刀目ではないが、自身の創部(痛い部分)へ綿棒を入れる前は「精神統一」という覚悟を決める時間も多少プラスされる。そして、痛みを最小限に抑えるよう慎重な綿棒捌きでさらに時間はかかり、痛みがでれば歯を食いしばって耐える時間もプラスされる。これまでも消毒にはかなりの時間をかけて入念に処置していたが、今では処置全体でこれまでの倍以上もの時間を要しているだろう。

今までは消毒後もすぐに動けていたが、今は消毒後に痛みが残るのでしばらく安静にしている時間も必要となった。

この痛みと処置時間の増加はQOLへ与える影響がとても大きい。

<まとめ>私のQOLを下げている要因は?

 記載したこと以外にも色々とあるのだが、細かいことは書ききれないので代表的なものだけをピックアップしてみた。おおよそ想像はつくと思うが、私にとってQOLを引き下げている要因は大きく下記の三つに分けることができる。

 

  1. 行動制限の増加
  2. 「痛みの出現頻度」の増加
  3. 自由時間の低下

 

 いずれもQOLを下げる影響度は甲乙付け難いが、それらに影響されて精神的な不安症状や葛藤は身体症状以上のものがある。そちらについては現時点で書ける状況ではないため、いつか気が向いたら書くことにしよう。

全国のVADを装着されている方へ

メッセージ

 あえて私から言う必要はない(言う資格がない?)かもしれないが、創部は良い状態をキープできるよう注力してほしい。とはいえ、それはQOLを構成する一部に過ぎない。創部管理に囚われて、やりたいことを必ずしも犠牲にする必要はないと思う。各人の状況や考え方もあるので、私からこうあるべきとは言えない。ただ、長い心臓移植待機生活においてご自身が納得のいく生活を送ってほしいとは思う。

あなたの「生活の質」を引っ張る大きな要因はなんでしょうか?

<創部の悪化を経験したことのない方へ>

 私のように創部が悪化した際に遭遇する状況について、頭の片隅にでも残っていただけたら幸いです。なお、私はひどい感染症を伴っているわけでもないので悪化といってもデブリなどの処置は行っていない。それよりもつらい状況を経験されている方はいらっしゃるが、私は未経験者なのでそれらについては書けません。(そのような経験を語ることなく心臓移植というご縁を迎えたい)

また、自身の悩みは文字で書き出してみることをお勧めします。私もブログより紙で書き出して本当の悩みはなんなのか?を考えることの方が多いです。

紙へ書き出してそのレベルかよ!!っという突っ込みは凹むのでコメントには書かないでください…

悪化したらどうなるのかを動画で表現

 言葉で伝えることが苦手なので、そのうち動画で届けたいと思う。しかし、現時点でカメラをセットすることすら難儀する状況なので、それが実現するかどうかは不明だ。最終的に何を伝えたいのか?
日本で臓器移植というものが普及していれば、このような状況にならなくて済んだということだ。

私はまだいいです。ただ、これまでにも仲間の訃報が届くことは数知れず、重度の合併症や後遺症など私では想像できない状況で移植を待っている方もいる。そして、それらをサポートする家族はもっと沢山いる。

先日の記事「補助人工心臓を死ぬまで使う」現患者が感じることでも述べたが、やはり臓器移植の普及が急務だと感じる。

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